日本でEVは普及するのか?【EV普及のカギ】10年後を考えた「EV充電器導入」と「電力問題」!注意点と解決策は

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風力発電とソーラーパネルをバックにクリーンなEVが走る写真

自動車産業は最後の砦

かつて、日本は、電機、半導体などあらゆる分野で世界でリードしてきましたが、2023年8月時点
世界の時価総額ランキング100位に入っている日本企業は41位トヨタ自動車のみです。
日本のGDPの1割以上を占める自動車産業にもEVシフトの荒波が押し寄せています。
当時画期的だった、IモードやTV搭載など日本の独自路線でスマホ移行が遅れ、ガラパゴス携帯・「ガラケー」と呼ばれることになりました。
今度は、自動車で、ガラパゴスカー・「ガラカー」にならないようにオールジャパンで世界をリードする必要があります。
普段は、EVシフトのメリットを多く解説していますが、今回は、見落とされがちな問題点を考えてみます。

世界市場でEVシフトは加速する

中国・インド・アフリカなどの発展途上地域でも人口増加に伴い自動車の普及は更に進むと考えられます。
北京オリンピック前には、排ガスを抑えるためにガソリン車の走行規制をしたように発展途上エリアでは排ガス問題も深刻です。
また、ガソリンスタンド建設や広大な地域のガソリン輸送問題も踏まえると、安価になった太陽光発電やSMRによるEV充電が適した国も多くあります。
EVを中心に強大な関連マーケットが成長していきますので、日本の最後の砦である自動車産業のEVシフトは必ず成功させるべき分野だと考えます。

EV普及のカギ①魅力的なEV開発

言うまでもなく魅力的なEVの発売が一番です!
デザイン・操作性・静粛性・価格など色々ありますが、当面の課題は航続距離と充電時間でしょう。
1充電で航続距離500Kmを超える車種も増え、700Kmを超える車種も登場してきました。
さらに2027年を目途に全個体電池搭載車が発売されれば、航続距離1500Kmも可能になります。
このゲームチェンジのカギともいえる全個体電池の特許数はトヨタ自動車がリードしており本気になったトヨタの巻き返しに期待するばかりです。

EV普及のカギ②適切なインフラ整備

日本政府は2030年までにEV充電器30万口設置を目標に掲げていますが、当面の間は、高額補助金の強力なバックアップが不可欠です。
限られた予算で効率良く普及されるには、数々の工夫が必要です。
・急速充電
 最優先は長距離移動に備えて高速道路SAや道の駅に100~150Kwの急速充電器を設置すること。
 出力が大きいほど充電時間が短くなりますが、リチウムイオン電池の場合、高温になると熱暴走が起き発火しますので、多くの車種が150Kw以上に対応していません。
 具体例では、日産サクラは最大30Kw抑制、アリアは最大130Kw抑制です。
 今後、熱に強い全個体電池搭載車が増えると200kw以上の超急速充電器が必要になります。

・基礎充電
 次に優先すべきは、戸建て住宅・マンション・アパート・月極駐車場・社用車用駐車場など、夜間充電を基本とする「基礎充電」です。
 少々、極端な見解を述べますと緊急性を伴う充電は急速充電をおこない、それ以外は就寝中などの夜間に低出力の3Kw充電する事がとても重要です!
 しばしば、3Kwでは少なすぎると言う意見がありますが、3Kw充電器で8時間充電すると24Kwhの充電が可能で日産リーフで約170kmも走行できる充電量です。
 一晩12時間あれば36Kwhで250km走行分で日常では十分と言えます。
 リチウムイオン電池は熱による劣化が激しく、高熱になる急速充電はリチウムイオン電池の満充電容量を減らします。
 その為、EV所有者の多くは、急速充電は、あくまで緊急用と位置付けメインは自宅での普通充電を行う傾向があります。
 今後、急速なEVシフトは、電力量不足になります。
 現時点でも真夏と真冬の日中は電力がひっ迫しています。
 電力量に余裕がある夜間に充電時間のピークシフトをすることが、何よりも重要です。
 いくらEVが増えてもブラックアウトが起きては意味がありません。
 昼間に充電しなくても良いように、しっかり夜間充電する仕組みが必要です。
 

時間別電気契約の深夜電力の単価表

・目的地充電
 ホテル・旅館・ゴルフ場などへのEV充電器導入も大切です。
 しかし、高速道路SA・道の駅を通過することが多く急速充電器でカバー可能な分野なので優先度は低いと言えます。
 また、今後、EVの航続距離が伸びていく事から朝出発して帰宅迄に充電する必要性が少なくなると考えます。
 例えば6kW充電器で、2時間12kW分、外充電した場合およそ660円かかりますが、
 自宅に帰り深夜充電17円/Kwhすれば、およそ200円ですみ、近い将来3倍以上払って迄、外出先で充電するケースは減ると予想します。
 コンビニやガソリンスタンド・自動車ディーラーにも50Kw以上の急速充電器が増えているので、10kw未満の普通充電器は充電量も少なく近い将来、利用はさらに限定的となります。
 目的地充電は弊社も受注しているので、もしも補助金対象から外れたり予算減額は痛手ですが、正直、EV業界全体を考えると優先度は低く、「急速充電」と「基礎充電」を優先させるべきだと考えます。
 一般住宅はV2H以外の普通充電器は補助金対象外ですが、毎月多くの受注をいただいており、目的地充電も優良企業が多く必要基数も少ない為、補助金なしでも需要が見込めます。

今後、EV業界全体を考えるならば、100Kw以上超急速充電器と3kW深夜充電の2極化がカギになると予想します。

EV普及のカギ③EV充電器更新を想定

高速道路SAなどの急速充電器は国の管理のもと適切に維持されるとして、懸念は、店舗やマンション・アパート・月極駐車場など個人事業主による維持です。
機種によっては2030年を過ぎたあたりから、今導入している充電器が順番に更新時期を迎えます。
今は補助金があるからと良く考えず導入すると更新できない可能性があります。
特に駐車場を多く保有するマンションなどは更新額も莫大になりかねません。
今回は、マンション1F共有部分から駐車場まで配線距離30M以内に設置する例を記載します。
①充電コンセントタイプ 40万円~60万円位  交換目安15年  次回本体交換概算費用3万円程
②ケーブル付普通充電器3Kwタイプ  60万円~80万円位  交換目安10年  次回本体交換概算費用20万円程
③ケーブル付普通充電器6Kwタイプ  80万円~100万円位  交換目安10年  次回本体交換概算費用25万円程

EV充電器で特に劣化が早いのがケーブルで次液晶パネルやプリント基板・コンデンサー等です。
10年後の更新時には補助金の対象ではなく全額自己負担も想定しておくべきです。
キュービクルやデマンドシステムなど維持費がかかるものは最初から組み込まないシンプルな設計を考え、
劣化の早いケーブルやP板がない充電コンセントなら交換サイクルも長く更新費も格安ですみます。
また、料金徴収システムや充電器設置業者も淘汰されることが予想できますので、別システムへの移行や管理が容易なものが無駄にならず理想と言えます。

EV普及だけでは環境に優しくない

EVがどれだけ普及しても結局、火力発電で充電していたら環境負荷は下がりません。
更に日の当たる駐車場にはソーラーカーポートの設置がポイントです。
時間帯別電気契約の場合、深夜は半額になりますが、昼間が割高になります。
ソーラーカーポートがあれば電力量不足や経済的にもメリットがあります。
屋根付き駐車場は、車の日焼けを防ぎ、洗車回数を減らし、雨の乗降時にも濡れにくく便利です。
月極駐車場なら賃料UPも可能です。
ソーラーカーポート4台用

魅力的な高額補助金

経済産業省主導、NeV次世代自動車振興センター執行の「充電インフラ補助金」があります。
とても魅力的な内容で、実情に合わせた修正を繰り返しEV業界を先導してくれています。
かつて、太陽光発電、エコキュート、IT、などにも高額補助金がありましたが、普及率に応じ縮小されてきました。
EV充電器の高額補助金も徐々に縮小されていくと考えると今が導入のチャンスとも言えます。

商業施設・ホテル等の目的地補助金は予算に達した為、6月12日早期終了いたしました。  マンション・月極駐車場 基礎充電補助金6月27日早期終了!

沢山のお問合せ・お申込み誠にありがとうございました!
残念ながらご契約いただいていたのに補助金申請に間に合わなかった多くのお客様にお詫び申し上げます。時期や補助額などは未定ですが、次回、公募開始後、速やかな申請を目指し準備を進めております。
担当者よりお詫びと今後の準備についてご案内させていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ。

補助金+宣伝設置2023年9月4日~9月15日 基礎6億円・目的19億円追加決定!

今回は、基礎充電区分の対象においてマンション・アパート・集合住宅のみとなり会社・工場・月極駐車場などは対象外となりました。
選定方法も先着順から1Kw当りの補助申請金額の低い順番に選定されます。
申請期間が短く交付決定から工事完了、実績報告までの期間も短いことから残り3社様で締め切らせていただきます。2023年8月30日時点

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