EV充電問題を考える 急速なEVシフトは電力不足になる? 最適なEV充電器とは? 深夜基礎充電がカギ!

  • HOME
  • ニュース
  • EV充電問題を考える 急速なEVシフトは電力不足になる? 最適なEV充電器とは? 深夜基礎充電がカギ!

風力発電とソーラーパネルをバックにクリーンなEVが走る写真

EV人気急上昇  経済性と手厚い補助金

2023年も世界中の自動車メーカーが続々と新型EVを投入しています。
テスラ(米国)・BYD(中国)EV専門メーカーの躍進が止まりません。
更に高級車ではメルセデスベンツ・BMW・アウディ・ジャガー・ロールスロイスまでもがEVを発売しました。
日本では、大ヒットの日産サクラが業界のけん引役となってEVシフトが急加速しています。
今後トヨタ自動車やホンダ自動車のEV市場本格参入により、さらにEVシフトは加速するでしょう。
現在、EV市場においては「テスラ」「BYD」に大差がついていますが、2030年頃には全個体電池搭載車の量産化により「トヨタ」が首位を握ると期待します。

これまでEVの不安なイメージとして、航続距離と充電問題がありましたが、
航続距離500Kmを超える車種も増え、長いと700Kmを超える車種迄登場!充電ポイントも増えつつあり、イメージが良くなってきました。

EVの魅力の一つ、走行コストが、ガソリン車に比べ1/3~1/4程度(深夜電力割引の場合)ですむので、ガソリン価格高騰が止まらない現在、さらに関心が高まるでしょう。
仮にガソリン代月3万円の場合、EVだと7500円程度ですむので、月22,500円の節約になり、年間27万円、10年で270万円も節約できる可能性があります。
節約できたお金と補助金で新車が購入できそうですね。
EVや太陽光発電などはエネルギー価格が高騰するほど普及が進む傾向があります。

次に「加速性能」モーターはガソリンエンジンより劣るイメージの方もいるようですが、新幹線でもモーターのパフォーマンスは実証されています。
数百万円のEVでも数千万円のガソリンスポーツカーに引けをとりません。

他にも「静粛性」「環境に優しい」「先進的デザイン」「オイル交換無」「減税」など魅力が沢山あります。

そして、EVシフトを陰で支えているのが、経産省のCEV補助金執行団体NeV次世代自動車進行性センター)です。
EV車両本体とEV充電器に魅力的な内容の補助金なので確認してみてください。
日本の自動車産業が世界で覇権を握れるか? 更なる牽引が期待されます。

 EV普及で電力不足?  ブラックアウトの懸念? 深夜充電がポイント!

遠くない未来、枯渇しCo2を排出する化石燃料から無尽蔵の電気で動くEVへシフトするのは自然の流れとも言えます。
私達は、家庭用EV普通充電器からV2H、事業用EV充電器まで多くのEV充電器設置をおこなっておりますが、そのなかで、
ご説明をさせていただく9割の方からEVが普及すると「電気が足りなくなる」「電気代が値上がりする」などの電力不足による悪影響を心配するご意見を頂戴いたます。
国内の自動車保有台数6200万台全てがEVになったら、電気ピーク時の発電量を現状の15%~20%増強する必要があり、その増強量は、原子力発電で10基、火力発電で20基に相当します。
現在でも、真夏と真冬の正午頃から20時頃は会社・工場・店舗・家庭の電力消費が集中してギリギリの日があります。
家庭でも電気を使い過ぎるとブレーカーが切れ停電が起きますが、街全体でも電気を使い過ぎると電力会社からの供給が停止します。
このようなエリア全域におよぶ大規模停電を「ブラックアウト」と言います。
(詳しくは、資源エネルギー庁をご確認ください)

日本が世界のEVシフトの流れに遅れをとらない為にもさらにEVシフトを加速させる必要があるが、エンジン部品産業の業態シフト問題以外に電力問題もありアクセルを踏みきれない事情があります。
電力問題だけを考えれば、ソーラーカーポートの普及促進は、EV普及と同時進行で行うべきで、将来的には原発再稼働や小型原発新設の議論も必要になると思われます。
当面大切なのは、
①午後のピーク時より30%~50%程余力のある深夜基礎充電の割合を増やす。
 近い将来、全個体電池が量産化されると1回の充電で、約1000Km走行可能です。
 現在でも1回の充電で500Km程走行可能な車種が増えています。
 バッテリーの大容量化に伴い「深夜の寝ている間に3Kw満充電」しておけば、わざわざ「電力量が逼迫する午後から夜に充電する必要はありません。

②使用場所に合った適切な充電量や性能の充電器を設置する。
 例えば、既に必要なケースと今は、まだ利用は見込めないが将来の為に設置する場合がありますが、10年後を見越して10年しか使えないハイスペックな物を導入しても意味がありません。
 実際に10年前に導入した急速充電器が撤去され更新されない場所も多々あり、10年後も同じ現象が起こりかねません。
 世界は2030年代に新車ガソリン車の販売や輸入の禁止もしくは減産を目標に掲げており、それに向けてのインフラ整備が進んでいますが、本格的にEVが主役になり本当に必要な時に、多くのEV充電器の交換が、    ほぼ同時に起こり、高額ハイスペックな機種だと交換や維持がおいつかなくなりかねません。

最適なEV充電器導入を考えるために基礎知識として機器の特徴を記載いたします。

3Kw充電器から急速充電器の特徴

3Kw充電コンセントの特徴
・充電ケーブルはEv車載ケーブルを使用する為、ほとんどのEVに対応可能で、ケーブルや半導体なども使用していないので低コストで20年近い使用を期待できます。
・キュービクルやデマンド無しで最大11基設置が可能です。
・1時間充電の走行距離目安 日産サクラ27Km走行分 日産アリア21Km走行分

6Kw普通充電器の特徴
・3Kw充電器より2倍速く充電可能です。
・1時間充電の走行距離目安 日産サクラ54Km走行分 日産アリア42Km走行分
・交換目安10年
・キュービクルやデマンド無しで最大5基設置が可能です。

50Kw急速充電器(450Aタイプ)
・バッテリーの80%迄急速充電可能(80%以上は充電不可)
・交換目安10年
・1回の充電時間30分まで
・車種により充電制限や抑制がある
・30分間充電の走行距離目安 日産サクラ15Kwで135Km走行分(サクラは最大30Kwに抑制)日産アリア175Km走行分
・電力契約は500A(アンペア)以上になるとキュービクルの設置が必要になりますが、数百区万円と導入費も高額で定期点検の義務などランニングコストも高額になります。
 50Kw急速充電器を設置する場合、建物の他の電力使用量と合わせると500Aを超えるためキュービクルが必要になります。
 しかし、通常1つの土地に電力契約は1契約しかできませんが、50KW(450A)迄の急速充電器は特例で、専用の契約を追加することが可能になったので、キュービクル無しで導入可能です。
※リチウムイオン電池は急速充電で温度上昇しバッテリー劣化を早めますので、通常は普通充電が望ましい

150Kw急速充電器
・バッテリーの80%迄急速充電可能(80%以上は充電不可)
・交換目安10年
・1回の充電時間30分ま
・車種により充電制限や抑制がある
・30分間充電の走行距離目安 日産サクラ15Kwで135Km走行分(サクラ最大30Kwに抑制)日産アリア455Km走行分(日産アリア最大130Kw抑制)
・キュービクルが必要。
※リチウムイオン電池は急速充電で温度上昇しバッテリー劣化を早めますので、通常は普通充電が望ましい

150Kw以上の急速充電器は、対応車種が少ない為、当面はオーバースペックです。
リン酸鉄リチウムイオン電池や全個体電池の普及後に活躍しますのでまだ先です。

上記以外にも9Kw・10Kw・20Kw・30Kw・40Kw・100Kwな機種がありますが、コスパや電力契約などを考慮して、設計基準をシンプルにする為、上記3kw・6kw・50kw・150wの4種類で説明いたします。

充電器も様々 適材適所、将来を見据えて考える

基礎充電
・戸建住宅のおすすめ充電器
 ・3Kw充電コンセント
 ・3Kw普通充電器
 ・6Kw普通充電器
 ・6KwV2H充放電器

・マンション・アパート・月極駐車場のおすすめ充電器
 ・3Kw充電コンセント
 ・6Kw普通充電器(キュービクルがあるが駐車場が4台以下の場合)

・会社・工場などの社用車用おすすめ充電器
 ・3Kw充電コンセント
 ・3Kw普通充電器
 ・6Kw普通充電器(キュービクルがあるが駐車場が3台以下の場合)
 ・6KwV2H充放電器

 基礎充電は、主に夜間充電が想定されますので、時間に余裕があり3KW充電器でも十分と言えます。
 例えば、日産サクラのバッテリーは20Kwなので空から満充電しても7時間で完了します。
 12時間あれば36Kwの充電が可能で走行距離250Km分になります。

 マンションや月極駐車場、会社等は、5台以上駐車スペースがある場合、3Kw充電コンセントがおすすめです。
 キュービクル無の設置上限は、3Kw×11台、6Kw×5台です。

経由地充電

・高速道路SA・道の駅
 ・150Kw以上超急速充電器

・充電ステーション(ガソリンスタンド等)
 ・150Kw以上超急速充電器

 経由地充電は移動途中の充電なので、超急速充電器一択でしょう。
 EV普及率が増したときに長い行列ができる懸念があります。

目的地充電:

・ホテル・旅館
 ・3Kw充電コンセント
 ・6Kw普通充電器
 基礎充電のマンションや会社に近い考え方です。
 長距離のお客様もいるので6Kwを混ぜても良いかもしれません。

・小規模店舗
 ・3Kw充電コンセント
 ・50Kw急速充電器
 小規模店舗の場合、キュービクルが無い前提です。
 特別措置で50Kw充電器用の電力契約を増設可能です。
 コインパーキングや店舗で3Kw充電料サービスをしてお客様獲得に成功している例も増えています。

・大規模商業施設
 ・3Kw充電コンセント
 ・150Kw以上超急速充電器
 ①ショッピングついでのお客様用は3Kwで基数を増やす。
 ②急速充電目的のお客様は、30分の待ち時間にお買い物やお食事をして頂く。

限られた電力を制限するデマンドコントロール

通信回線の場合、利用者が集中する時間帯は遅くなりますが、EV充電も集中する時間帯には6Kw充電器でも2Kwなどへ制御し遅くなるデマンドコントロールシステムがあります。
しかし、5時間で満充電の予定が、30%しか充電できていなかったら、途中で急速充電所に立ち寄る事になり、約束の時間に遅れるかもしれません。
限られた電力量を身内同士で利用する会社などでは、デマンドコントロールが最適ですが、他人同士で利用するマンションや施設には不向きです。
最初からシンプルに導入コストも安く高耐久・長寿命の3Kwコンセントタイプで導入設計して、どうしても使用目的が合わない場合にケーブル付きや6Kw、急速などを選択していくのが良いのではないでしょうか。

おすすめ対策 タイマーでピークシフト

時間別電気契約の深夜電力の単価表
電力会社で名前や割引率が違いますが、電力量に余裕のある時間には割引プランがあります。
充電時間帯を電力量に余裕があり単価も安い夜間にピークシフトできるようにタイマーを付けるのが低コストでおすすめです。
今後、充電タイマーも補助金対象になると嬉しいですね。

まとめ

①導入コストも安く高耐久・長寿命の3Kwコンセントタイプで基数を増やす
②電力量に30~50%程余裕があり電気単価が安くなる深夜にタイマー充電してピークシフトする
③150Kw以上の超急速充電器と夜間充電できる3Kw基礎充電の普及拡大が鍵

最近の更新